【開催レポ】「藍をもっと身近に」亀田悦子さんお話会

イベントレポ

「暮らしの発酵通信」徳島号で取材させていただいた亀田悦子さん(特集記事はこちら)。名古屋にいらっしゃるとのことで、藍のお話会を開催した。

藍染め体験ができるわけではなく、お話だけの初開催。どのくらいみなさんがご興味あるか未知数なまま、募集を開始したところ、定員20名枠に46名ものお申込!
あまりの反響の大きさに驚き、途中でキャンセル待ちのお申込もやめた状態となった。

肌着屋の私が藍染めを始めたワケ

亀田さんは100年以上続く老舗の肌着屋に嫁いで何十年。藍染めは徳島県の特産品であり、高級な伝統工芸品のため、自分には高嶺の花であり、自分が藍染めをするようになるとは思っていなかったそう。

前社長のご主人がEM(有用微生物群)技術を知り、開発された先生の話に感動され、EM技術を用いた保存容器を作る会社(㈱ホワイトマックス/大阪府)さんとご縁があり、「容器で野菜の鮮度保持ができるなら、服にしたら人間の鮮度保持もできるんやないか」と意気投合。

エンバランス樹脂を用いた衣類の開発に取り組んでいった。

ちょうど同じころ、亀田さんは授産施設でのボランティア活動にいそしんでいて、授産施設で作る藍染め製品が、とても安全で品質のいいものをつくっているにも関わらず、なかなか売れないという現状を目にしていた。

肌着を販売していると、「子どもがアトピーで着られるものがないんです。」という声も聞くことが多かった。

藍のことを調べていくうちに、藍は「染料」ではなくて、「薬草」だと知った亀田さん。「機能性のある繊維で、薬品を使わない藍染めの肌着をつくったら、困っている子どもたちを助けることができるのではないか?」と思い、藍染めの肌着を作ることになった。

無農薬の藍染めを目指して

亀田さんが藍染めの肌着に着手し始めたころ、お孫さんは乳飲み子。うぶ着をチュッチュと吸っている姿を見たら、「栽培の時から農薬を使わない藍染めが必要。染料をつくる時も、化学染料を使わないものじゃないといけない。」と心に決めたそう。

農薬が飛んでこない、人家もない人里離れた山奥での藍の栽培が始まった。

「藍なんて育てたことないよ」と言われつつも、EMで無農薬の米を栽培している農家さんにご協力いただき、試行錯誤で藍の栽培を始めたのが約12年前。

海部(かいふ)郡の文字から「あまべ藍」と名付けられた。

生活に藍を!

藍にはいくつか種類がある。琉球藍、インド藍、タデ科の藍。琉球藍やインド藍は茎にも染料の元になる成分・インディカンが含まれているが、亀田さんたちが栽培しているタデ科の藍には、葉にしかインディカンが含まれていない。

そのため、染料を作るためには葉と茎を分けなければならない。収穫は手刈りをし、それでも茎が混じるので風で葉と茎を分ける。葉は15cmほど残せば、2番葉、3番葉と出てくるはずなんだけれど、今年は雨が多く、2番葉さえ生えてこなかったそう。

左から、藍の葉、種、すくも

伝統的な藍染めの染料「すくも」は堆肥づくりのように葉を発酵させるけれど、それを作るのは100日以上かかり、過酷な労働環境が強いられる。結果的に、最終製品の価格が跳ね上がってしまうのだ。

亀田さんが目指しているのは「生活の藍」。すくもは作らずに、葉をカリカリに乾燥させ、独自の方法で染料を作っていく。葉を完全に乾燥させることがポイントなのだとか。
おむつやパンツ、布ナプキン等、生活に密着したものに藍を摂り入れてもらえるように、安く、誰もが簡単に染められる方法を長年研究してきた。

生活に藍を摂り入れるための取り組みとして、「藍甕キット」の販売も始めている。また、「食べられる藍」の普及も進めていきたいと、藍の葉や種を使ったお茶や藍を練りこんだそうめんなどの販売も開始。特に、今まで廃棄していた藍の茎にはポリフェノールがたくさん含まれていることがわかり、今後、藍の食品としての健康効果にも期待が高まる。

 

藍に触れて笑顔が増える

藍は、発酵させた染料を作らずに生葉で染める方法もある。藍の葉をひたひたの水と共にジューサーにかけ、シルクなどの布を染める。

生葉が採れる時期しかできず、しかもジューサーにかけてから30分が勝負なのだとか!

介護施設や授産施設などで生葉染めや藍染め体験会を開いてきた亀田さん。普段全く笑わない方から笑顔がこぼれたり、痴呆が入って、会話もままならないような状態の方が黙々と作業に集中していたり、藍に触れることでたくさんの笑顔と感動をもらっているそう。

「私たちは藍の栽培に微生物(EM)さんを使っているし、藍の発酵にもたくさんの微生物がかかわっています。これは、私たち人間に生き方も教えてくれているような気がします。微生物さん、藍ちゃんからはたくさんの愛を教えてもらっています。」

この記事を書いたライター記事一覧
KAKO(かこ)【暮らしの発酵コンシェルジュ】
「暮らしの発酵通信」ライター。「微生物と響きあえば、人も社会も発酵する」私の大好きな言葉です。発酵の力でみんなでhappyになろう!
  • 登録無料 年2回届く暮らしの発酵通信「暮らしの発酵くらぶ」

Instagram